第6章 何のため?誰のために?
自分の居るべき場所ってどこなのだろう。
ふと、そう考えることがある。
13歳で海軍から出た後も、
決して“楽しい”といえる人生はおくってこなかった。
色んな海賊団を回った。
私が何らかの能力を持っていることを知り
何かに使ってやろうと考えている人達ばかりだった。
だから、ローに惹かれた。
能力のことを知らなかったのに
自分を受け入れてくれた。
それが嬉しくて
この人のためなら
“悪魔”になってもいい
そう思えるようになった。
それももう前の話だ。
こう、何回も顔を合わせていると
海軍の人達にも親しみをもてるものだ。
MARINE
目の前の船に大きく書かれたその文字も
少し、懐かしさを感じる。
「お前……リンか…?」
ああ、懐かしい。
低いくせに、どこか優しさのこもった声だ。
「あーあ、またお世話になっちゃうよ~……スモやん…」
震える声で呟き
後ろを振り返ると、
煙をもくもくとさせているその人は
以前と変わらない姿で立っていた。