第1章 遅い体質
チャイムが鳴ると同時に、私はおもむろにカバンを掴んでクラスから飛び出した
担任も追いかけてこない………
よし!私の勝ちだ!
このまま昇降口まで構わず走る
と、靴箱にたどり着いたそのとき___
ドンッ
「ひぎゃッ!」
靴箱で靴を履き替えてた一人とぶつかってしまった
あれ、私確か人いないの確認したはずだけど………
不振に思いながら恐る恐る顔をあげると
見たことのない水色の髪の珍しい男の子
いや、私はどこかで見たことあるのかもしれないけど
あいにく、同い年かもわからない人の顔を覚えるほど
私の脳みそは賢くない
「ひぃ!ホントすみません!ごめんなさい!」
慌てて態勢を立て直し、首が落ちるくらいに頭を振って謝る
ペコペコと頭を下げる私を、困ったように見ていた人は
「いいえ、お怪我がなくてよかったです」
と、微かに笑った
そう、この男の子は無表情
いつもなら変な妄想するはずの私は
暫し、不自然なほどまでに無表情なこの男の子に見とれていた