第4章 変態少女の生息
「学校中の先生に聞いて回ったが断られたよ
『これほどまでの生徒を教える力はない』とね」
「でしょうね」
『これほどまでの生徒を教える力はない』か…………
オレもかつてはそんなことを言われた気がする
まぁ、とうに昔の話だし、居心地も悪くもなく良くもない
好きに言わせておけばいい
「頼む、お前しかいないんだよ」
「………嫌です
そもそも、先生の手に負えない生徒をオレにどうしろと?青峰のようにはいきませんよ」
「…………どんなことをしてでも、と言ったら?」
永井が、ぽつんと言った
“どんなことでも”
どんなことでも、か。
そこまで必死なのか………永井は
その、変態女に
「あいつはあいつなりにやるときはやるやつなんだが……なかなかスイッチが入らない
しかも、変な性癖を持ち合わせている」
「えぇ、噂で聞いてます」
しかも実際、その変態女のおかげで
昼休みなどでクラスで取っ組み合い、暴れる生徒が減ったと言う…………
こちらも、そこまで言われたら率直に断るわけにはいかない………
考えようと、沈黙が流れたその時……
ガタンっ
隣のクラスのドアが勢いよく開けられ、中から女子生徒が飛び出してきた
「あッ…………あいつ………!」
永井の声遅く、女子生徒はあっという間に角を曲がり姿を消した