第3章 弱点
「ど、どうも………」
「すみません、いつもここで食べているんですか?」
お弁当の小包を慌てて掴んだ手を見て、こっちへ気を使って席を開けてくれたことに気がついた
「あ、いいのいいの!
私、ただ宿題するだけだから!」
と、急いでその場から逃げようとするけど
水色くんに、腕を捕まれたまま
ちょ、逃げたい←
「あの………
君、卯月彩空さんですよね?」
水色くんの口から、私の名前が飛び出し、絶句する
「な………なんで最近私の名前知ってる人多いのかな?!
指名手配でもされてるの私????」
「いいえ、ちょっと部活で……
よかったらここで食べてください」
水色くんが遠慮するように立ち去る腕を、今度は私が掴んでやった
「あ……えっと………
君、国語できる?」
ここで、席を譲らせるのは酌じゃないよね
水色くんが、いい返事をしてくれることを心そこ願う
「まぁ、得意ですけど………」
「教えてくださいお願いします!
お仕置きされるんで!」
いいですよ、と弱く笑う水色くんが
『お仕置き』、という単語に微妙に反応した
やっぱり、
前も『敵』っていう言葉に反応したよねこの人
心配性か、冗談通じない人なのかな………