第3章 不純異性交遊?いやいや中身大人ですから
ついに憧れの松野先輩と話す事が出来た。
帰り道の会話を思い出す度に胸が高鳴る。
松野先輩達は気付いてないだろうけど、6つ子は学校中の人気者だ。
だけど、6人はあまりにも仲がよく私達には入り込めない世界があるというか…近付きがたい雰囲気を纏っていた。
それでも、幼なじみのトト子先輩は6人とすごく打ち解けていて羨ましかったし、松野先輩達とトト子先輩はとても輝いて見えた。
明るくて楽しくて、みんな私の憧れだった。
そんなトト子先輩に、引っ越す事を伝えたらこう聞かれてしまった。「何もしないでいいの?」って。
トト子先輩には見抜かれていたんだ。私がずっと片思いしていたのを。
引越し当日まで毎日会えるなんて、まるで神様が与えてくれた奇跡の1週間!
……と思っていたけれど、約束した2日目は待ち合わせ場所に来ないで先に帰ってしまっていた。
先輩忙しかったのかな?何か嫌な事言っちゃったかな。約束を破るような人じゃないから、きっと何か訳があるはず。
だけど、3日目も来なかった。
沈む気持ちを無理やり奮い立たせ、会えるかもと期待して図書館に寄ってみたら、タイミングよく松野先輩が分厚い英字の学術書?みたいな本を抱えて帰る所に遭遇した。
声をかけるととても動揺している。一昨日話したのが"無かった事"のように初対面の対応をされたし、声も元に戻っていてまるで別人だった。
「先輩、あの、帰りはどうして…」
「は、はいっ、ななっなんでしょう?」
「…なんでもありません」
約束したと思っていたのは私だけだったのかな。
やっぱり、避けられているのかも。