第3章 不純異性交遊?いやいや中身大人ですから
「あのさ、そんなに…泣かないで…僕は僕だから…」
「だって…だって…!」
「大丈夫だから、僕は同じだから」
過去と未来を変えてしまっても、のぞみちゃん、この思いはずっと変わらない。
「ずっとのぞみちゃんが好きだったのは…同じ…」
のぞみちゃんが落ち着くように抱きしめる。出来るだけ優しく、思いを込めて。
抱きしめたのに、不思議と緊張はしなくて。
初めてのはずなのに、キミの体温、匂い、息づかい、全部知っているみたいに懐かしい。
僕は確信したよ。
「もし、多次元宇宙に何千何万と僕がいても、きっと全員のぞみちゃんを好きになると思う」
「…っ、また…変なこと言ってる…っ」
泣きじゃくる声に笑い声が混ざる。
顔を上げた彼女は、僕の思い出を彩るどののぞみちゃんよりも素敵な笑顔だった。
「ねぇ教えてよ。あれから僕達がどんな風に過ごしたのか」
「私も、教えて。私が知らないチョロくんを」
頼れる男でいたかったけど、見つめ合ってしまえば、僕もついに我慢の限界。
目頭が熱くなり瞳を閉じると、ぽとりと雫が落っこちて、2人の涙が混ざり合った。