第3章 不純異性交遊?いやいや中身大人ですから
いくつか質問され、この一連の会話は演技ではなくタイムリープしてきたからだと事実を伝えると、"過去"では引かれたのに"現在"は信じてくれた。作り話のような話なのに、黙って真剣に話を聞いてくれて、僕の話を理解しようとしてくれた。
そして、のぞみちゃんからは、数年付き合っている2人の思い出や約束事みたいのを聞かれたけど見事に0点。
のぞみちゃんの表情が悲しみの色に塗りつぶされていく。
「すごいね、映画みたい…タイムリープして会いにくるなんて…」
そう言ってまた、泣く。
「でもごめん、嬉しいけど寂しい…。だって今までの記憶ないんでしょ?だけど泣きたいのはチョロくんだよね。きっと今怖いよね、不安だよね」
「あの時信じてあげられなくてごめんね」と言い終わると、また肩を震わせ泣いている。蛇口が壊れたみたいに。
どうして自分を責めるんだろう。なんてお人好しなんだ。
それに比べて僕はなんだ?
自分の事しか頭になかった自分に腹が立ち、拳を握りしめる。
涙が止まらないのぞみちゃんの両肩に手を置く。
「高橋さ…いや、のぞみちゃん」
真っ直ぐ見つめる。ああ、なんて可愛いんだろう。
「…チョロ…くん…」
大好きな人をこれ以上悲しませる訳にはいかない。