第3章 不純異性交遊?いやいや中身大人ですから
「——っ!!……はぁ、はぁ…」
思考が渦巻く中、ゆっくりと目を開く。
視界に飛び込んで来た明かりが眩しくて目を細める。辺りを見回せば、そこはなんてことはないいつもの我が家のいつもの僕ら6つ子の部屋。
ひどく寝汗をかいている。服がベッタリ皮膚にくっつく感覚が気持ち悪い。
起き上がると、開きっぱなしの卒アルが目に入った。
帰ってきた?いや、
「夢…だった?」
そうだ、と床に落ちている写真を拾い上げる。
刹那、戦慄が走った。
撮った覚えのない、のぞみちゃんとのツーショット写真。
兄弟6人とトト子ちゃん、のぞみちゃんが映った写真がなくなっている。アルバムの中を確認してもない。
つまり…僕は、あの頃とは違う未来に——
「おはよ」
「わぁぁぁぁぁぁぁッ!!??」
背後から声をかけられ、悲鳴と共におののく。四つん這いで壁際まで避難する。
「え?え?ええっ誰っ!?」
「どうしたの?寝ぼけてる?」
眼前に飛び込んできた女の子は、手をついて前屈みになり僕の顔を覗き込んでくる。た、谷間…。
「あの、キミは…?」
と、聞いておいてすぐに誰だかわかった。
だってこの子は、髪型は違うけど、声や雰囲気、顔つきがそのまんま、
「高橋…さん?」
「どうして今更名字呼び?やっぱり寝ぼけてるね、チョロくん」
「チョロくんッ!?」
「なに驚いてるの?」
チョロくんて!?
馴れ馴れしいよのぞみちゃん!!非常に良い意味で馴れ馴れしい!!
歳下でタメ口でチョロくんって最高だよぉぉぉぉぉ!!
至近距離から良い匂いがする。匂いの発生源は言わずもがな、目の前にいる大人びたのぞみちゃん。前屈みなせいで谷間が僕を手招きしている。許可が下りるのであれば今すぐそこへダイブしたい。
「って勃起してる場合じゃないだろぉぉぉ!!」
「一体なんなの!?」
頭を抱え狼狽する僕を見て、のぞみちゃんは顔をひきつらせている。
とりあえずは股間の主張を隠し、彼女に向き直った。
のぞみちゃんは困ったように笑う。
「昔からそういう変なところあるよね」