第3章 不純異性交遊?いやいや中身大人ですから
引くほどイタくても胡散臭くても、真実なんだから仕方ないじゃないか。
彼女を説得すべく、無理やり会話を続ける。
「あの、信じなくてもいいから聞いてほしいんだ。それでね、未来からタイムリープして来たんだけど、戻る為には過去の後悔を無くさないといけなくて——」
「は、い…?」
確実に引いてる。けど、止めない。
「引越しが1週間後だっけ?その間協力して欲しいんだ!高橋さんとの思い出を作らせてくれないかな?」
「……!」
「そうすれば未来に戻れると思うんだ!お願いし……あ」
顔を上気させ、目を見開いているのぞみちゃんを見て、自分がとんでもない発言をしていることに気がついた。
過去の後悔=のぞみちゃんって、これもう遠回しに好きって言ってるようなものじゃないか。
まずい。緊張と興奮で失禁しそう。
「あ……ははっ、話の途中でごめん、トイレ行きたいからそろそろ行くよ」
「…こちらこそお願いします」
「ありがとう!じゃあお互いトイレで出すもん出して「そっちじゃありません!」
今にも泣き出しそうな顔で、のぞみちゃん。こんなに愛しい人に放尿する訳にはいかない。膀胱に全神経を集中させる。
のぞみちゃんは、瞳を揺らし、躊躇いがちに口を開く。
「未来とかタイムリープとか……はっきり言って先輩の言っている事よく分からないです」
「そ、そうだよね」
僕だってよく分かってないんだから、彼女が困惑するのはもっともだ。
「でも、思い出づくりと先輩が言うなら……」
のぞみちゃんが顔を上げる。
「1週間だけ、その…私と、一緒に帰りませんか?」
その提案に、気づけば僕は彼女の足下に平伏していた。