• テキストサイズ

おそ松さん〜青春群像松劇〜

第3章 不純異性交遊?いやいや中身大人ですから



「………僕だって、見てた…から…」


僕の言葉に、のぞみちゃんの暗かった表情が一変、目を丸くして顔を上げる。

言い出した手前後には引けない。

こんなリスキーな台詞、きっと普段の僕ならば絶対に口にしないのに。


「僕も……高橋さんがトト子ちゃんと話してるの、いつも見てた」


数年越しの僕の思い。

時空を超えて今届ける。

だけどいつまでも返事がないので、そっと横顔を盗み見ると、


(…赤っ!?すっげー赤っ!!)


俯いてて表情はよく見えないけど、耳までまっかっかになっている。

小っ恥ずかしくて僕も黙り込む。

ハタから見たら、きっと僕も人のこと言えないくらい赤いんだろう。

心臓がうるさい。耳が熱い。

反応がないから、引かれたのかどうか全然わからない。

気まずい雰囲気の中、となりのかわい子ちゃんはカバンをガサゴソし始めた。会話がないのはカバンを漁ってるからですと、無理やり理由を作ってくれているみたいに。

という僕の後ろ向きな思考はすぐに掻き消される。


「そういえば……先輩よく本読んでますよね?よかったらこれ読んでみませんか?私のオススメなんです」


差し出されたのは見覚えのあるラノベだった。


「こ、これ…ほんとに?いいの?」

「まだ1巻しか出てないんですけど、興味持って貰えたらいいなって。何度も読んで中身覚えたので先輩にプレゼントします」


「布教活動です」と付け加えて、彼女は微笑んだ。

興味持つも何も、それはタイムリープ前に探していたラノベの1巻である。

手が震える。

こんなの信じちゃうだろ。運命とか奇跡とかミエナイチカラとか。


「あのっありがとう…大事に読むから」


恐る恐る受け取ると、彼女は嬉しそうにはにかんだ。


/ 80ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp