第3章 不純異性交遊?いやいや中身大人ですから
兄弟5人のチンコを思い浮かべたおかげで、なんとかメーターの値をニュートラルまで戻す事に成功した。
電柱に手をつき立ち上がろうとすると、ちょうど散歩途中の丸っこい芝犬にオシッコをひっかけられ、更にメーターが良い感じに下がってくれた。
バカ犬に笑顔を向ける。
「ありがとう」
「なんでお礼!?」
汚れたのが幸い手だけでよかった。制服からアンモニア臭がしたら、隣にいるキミに申し訳なさすぎるからね。
公園の水道で手を洗い終えると、なつみちゃんがハンカチを差し出してきた。
ハンカチが僕の眼前で黄金色に輝く。
「めっ目がっ!目がぁぁぁ!!」
「え?」
「しまって!早く!」
「????」
のぞみちゃんはキョトンとしながらハンカチを制服のポケットへ戻す。
「????」じゃないよもう!
のぞみちゃん、それはハイレベルすぎる。
いきなり"マネージャーのタオル"的な青春値は無職童貞にはキツい。
初めては優しめにしてくれないと心がほぐれない。
ほぐれないまま青春ぶっこまれたら僕の心臓が破壊される。
まずは"窓の向こうで校庭を走るキミをひたすら見つめる"くらいから始めないと…。
そしてきっとあのハンカチを手に取っていたら、僕は即座に未来へと帰っていたに違いない。
(お近づきになりたいのになれない………なんて……)
なんという"地獄"だろう。
青春をやり直し、僕は思い知った。
天国と地獄は表裏一体なのだと。