第3章 不純異性交遊?いやいや中身大人ですから
いきなり2人きりになる展開とか、誰が予想していただろうか。
会話の準備なんかしてないし、女子と2人で登校とか人生初だ。
もうこれ未来帰らなくていいだろ。
気持ちメーターは…………は、はちぃっ!?
2人っきりになっただけでそんな上がんのぉっ!?
これで元の世界戻ったら余計に未練残って赤子からやり直すレベルなんだけど。気持ちメーターがMAXにならぬよう、嫌なことでも思い出すか。
兄弟のクソエピソードとか、進路とか?ああっ!でも!フツーに無理ぃッ!!
だって幸せだもん!!僕今幸せだもん!!
彼女と過ごす貴重な時間にクソな事考えられるかぁぁぁっ!!
あー熱が一箇所に集まってきた。鼻だけど。今にも鼻血噴射しそう。
こうしてる間にも刻一刻と過ぎてゆく。
どうする?何を話す?
話のネタよ降ってこい!ネタの土砂降りになれ!
「あの…」
頭の中でネタの雨乞いをしていると、向こうから話しかけてきてくれた。
「どうします?トト子先輩達待ってます?」
せっかくの会話のチャンス。真面目な優等生キャラで返そうと、とりあえずメガネをクイっとやってみる。
「ええと、先に…行ってようか?待ってたら逆に気を使わせちゃいそうだし。ああ念のため言うけど違うよ?決して2人になれたこの状況を喜び誰にも邪魔されたくないとかそういう下心は微塵も無いから」
「は、はいっ、ちょっと後半早口でなに言ってるか分かりませんでしたけど…」
あれ?少し顔が赤い?もしかして照れてる?
2人きりというこの状況に、もしや彼女もときめきメモリアル?
だってそうだよね?
さっき一緒に行くの前提で「どうします?」って聞いてきたもん。
それで、2人で登校したら知り合いみんなに噂なんかされちゃったりしてさ。
「いつの間に女子とお近づきになったんだよ」なんてからかわれちゃったりして。
「やめてよ!そんなんじゃないよ!」とか、僕も満更じゃない様子で返して、2人で目があって赤面したりしなかったり…!
グフフとめくるめく妄想に耽っていると、のぞみちゃんに名前を呼ばれハッと我に帰る。
「先輩って面白いですね」
「そうかな?そんなことない、と思うけど」
僕の顔を見てなぜか吹き出している。