第3章 不純異性交遊?いやいや中身大人ですから
ほんの些細な一言なのに、それまでションボリ眉毛だったカラ松の顔がパァッと明るくなった。
「そうかな?そう思う?」
「うん、腐れ縁ってやつ」
一方、トド松はキョトンとしている。何を言ってるのか全くわからないといった様子。
正直僕も何を言ってるのかわからない。
でもこれだけは言える。
僕らは成人後も仲良く童貞チンポを並べて布団で仲良く眠ってるよ、と。
だけど、進路だなんだで悩みまくってる高3のコイツらに、ニートになってるとは流石の僕も言えない。そっと胸にしまっておこう。
あーあ。ニートな日常を思い出したら虚しくなってきた。
早く青春をやり直して未来へ帰ろう。
正直さ、若気の至り満載な兄弟に僕1人混ざってると寂しいんだ。僕だけ仲間はずれみたいでさ。
顔を上げるとふと時計が目に入った。そろそろ学校に向かわないとかな。
「あのさ、僕らって何時ごろ家出てたっけ?」
「なんでそんなこと聞くの?8時前には——あっ!」
カラ松が時計を見て慌て出した。
「僕、演劇部の朝練があるんだった!もう行かないと!」
焦った様子で慌ただしく居間から出てゆく。
家を出るのは8時前くらいか。僕もそろそろ準備するか。
「お前も早くしないと遅刻するよ」
「うん、ねぇねぇ一緒に…」
「僕は急いでんの」
「えぇー!チョロ松にいちゃんのケチ!」
声を遮るように戸を閉めた。
兄弟のことも気がかりだけどそれどころじゃない。
てかコイツらは大丈夫。ほっといてもこの時期を乗り越えればみんな大人になるんだから。
未来へ向かう兄弟とは違い、過去に逆行している僕は、一刻も早く気持ちメーターの針をプラスに持っていかないといけないんだ。