第3章 不純異性交遊?いやいや中身大人ですから
そうして、十四松の寝相に苛立ちつつもなんとか眠り、朝を迎えた。
突然のタイムリープに気が張っていたせいか、誰よりも遅く寝たのに誰よりも早く起きてしまった。
起きたついでに珍しく母さんの手伝いなんかしちゃって、すっごく喜ばれた。
そんなわけで、僕がせっかく運んでやった朝ごはんだというのに、朝の食卓も相変わらずみんな無口。
ぐるりと視線を回すと、みんな下を向いてガツガツと朝飯を食べている中、カラ松とだけ目が合った。
カラ松は目が合うと、肩をビクッと震わせうつむいてしまった。
お前なんでそんなウサギみたいになってんの?しかも驚いた拍子に箸で掴んでいたプチトマト飛ばしちゃってるし。んでもって、十四松の股間の間にプチトマトがダイブしてめちゃくちゃガン飛ばされているし。
「あ?んだよっ?」
「ご、ごめんっ」
十四松がすごんでる。
そして落ちたプチトマトそのまま食ってる。
オラついてもそこは食うのかよ!
しかもカラ松、謝った拍子にまたしても箸を滑らせ、今度はおそ松のパジャマの中にたまご焼きを飛ばしている。
「うわぁっ!ごめんっおそ松兄さん!」
おそ松は舌打ちだけしてカラ松を無視。パジャマをバサバサしてたまご焼きがポロリと落ちる。
そしてそれをまたつまむ十四松。
ヤンキーに片足突っ込んでも十四松という本能には抗えないのか。
なんだこの光景は。
「チッ、ニヤニヤ笑ってんじゃねーよ」
ん?なんだ?おそ松が威嚇してきた。
だけどここは大人の余裕を見せてあげよう。
「ごめんごめん、つい懐かしくて」
「は?なに言ってんだよ?」
「どうしたのみんな。どうしてこんなにピリピリしてんの?もうやめよう?僕達なんだかんだ仲良しだったでしょ」
——……シーーーーーーン。
え?なにも言い返してこない&反応がない。
なにこれ気まず!?気まずくて飯がまずくなる!
「家の中でまで優等生ぶんなよ」
静まり返る居間、一松が乾いた声で言い放った。