第3章 不純異性交遊?いやいや中身大人ですから
「チミが意識を過去に飛ばしてしまうほどの強い後悔。思い当たる事はないダスか?」
デカパンは顎に手を当て悩む素振りをしながら、つぶらな瞳で睨みつけてくる。
僕と目が合い、ニヤリとしながら、
「……トト子ちゃんのスカートめくりダスか?」
「そんなわけないだろ!だとしたらもう元の世界に戻ってる!」
てか、戻らないとはなんて強欲なんだ僕。
ならば僕はやっぱり——
「思い出にしたくなかった…のかな?」
「ホエ?」
「大人になってもう諦めていた、きっといろいろ諦めていたんだ。だけど、本当はそれを諦めたくなくて、それで僕は…」
心配そうな表情で水を差し出すデカパン博士。御礼を言って一口。途端、口内にむせ返るようなおっさん風味がしたので反射的に噴射していた。
なんの水?体液でも入ってんのか?
グラスを乱暴に机に置く。
「ゲホッ…とりあえず僕はどうしたらいいのかな?」
「まずはチミ自身納得いくように行動してみるのを勧めるダス」
「けれど、過去って変えていいものなのかな?SF映画とかだとさ、ダメだったり結局変えられずにループとかしてない?」
「こうなってしまった以上、現状を変えるにはそれしかアドバイス出来ないダス」
単純だけど難しい課題だ。
夢だったならば、なりふり構わず本能の赴くままに行動出来たんだけど。
それに、過去の優等生であった僕を上書きしたくないなぁ。
いやむしろ、大人になって思慮分別に磨きがかかってるし、さらに優等生としてアップグレードすればいいのか?
「あ、そろそろ帰らなきゃ」
気づけば、西日が窓の向こうの空をオレンジに染め上げている。
うん、早速思慮分別のある発言。
「とりあえずもう遅いし、一晩悩んで明日から行動するよ」
「分かったダス。ただし!」
立ち上がった拍子、博士はビシッと人差し指を僕に突き立てた。