第3章 不純異性交遊?いやいや中身大人ですから
デカパン博士の仮説によると、僕の身に起きた現象はタイムスリップではなく正確にはタイムリープと呼ぶらしい。
記憶だけ過去や未来に飛ぶってやつ。タイムスリップは身体ごと飛ぶから別物なんだそうだ。
映画やアニメでなんとなく見知った話だ。信じられる?まさかそんな作り話のようなSFが、唐突に我が身に降りかかるなんてさ。
座るよう促され、錆びた丸椅子に腰掛ければ、軋む音が耳に残る。まるで、夢ではなくリアルなんだと僕に言い聞かせるように。
「タイムリープって……なんでこんなことになっちゃったんだろ…」
「臨死体験で過去にタイムリープした実例を聞いたことはあるダスが、まさかチミも事故に遭ったダスか?」
「いや全然。昔の写真見てただけ」
なんとなく頬に手を添えてみれば、手当てされた傷はまだジクジクしている。
夢だと信じたいのに、どんどん現実味を帯びてきて怖くなってきた。
「ホエ。それがキッカケで飛んできたなら、写真を見てよほどこの時代に飛びたくなる衝動が起きた、ということダスな」
「そうなの?」
「チミの話を信じるなら、そうとしかワスからは言えないダス」
「それで、戻る方法は?」
「鍵はその写真ダスな。写真を見たのが原因なら問題を解くのも写真ダス」
瞬時にあの子が頭をよぎった。