第3章 不純異性交遊?いやいや中身大人ですから
場面が変わってデカパンラボ。
ラボは現在とは違う場所にあり、思い出すまで随分苦労した。
僕が高校生の頃は河川敷にポツンと建っていて、夜な夜な怪しい匂いやら音がするとかで近所の誰も寄り付かなかったものだ。
やっぱり、夢の中のはずなのにいろいろとリアルで気味が悪い。
「——ってなわけで、ものすごく困ってるんだけどいつになったら目が覚めるのかな?夢の中のデカパンに相談するのもアレだけど」
デカパンにこれまでの出来事をかいつまんで説明した。
デカパンは、乱雑に薬瓶が置かれた棚の整頓をしながら返す。
「大丈夫ダスか?寝ぼけてるみたいダスが」
「寝ぼけてない!」
そう言うと、整頓の手を止めくるりと振り返る。
「ワスは断言出来るダス。この世界は夢じゃなく現実ダス。現実にいるワスが言うんだからそこは信じるしかないダス」
「そう…なの?」
こくりと頷くデカパン。
「あの、僕さっきトト子ちゃんのスカートめくったんだけど」
「ご愁傷様ダス」
膝から崩れおちる。
なんという失態。JKトト子ちゃんのスカートをめくっちゃうなんて…。
セミで誤魔化せたとしてもトト子ちゃんにマイナスイメージを植え付けてしまったことに変わりはない。虫を理由に女子様の大事な部分を覆う布をめくるなんて…僕は…僕ってやつは…これじゃクソ長男と同レベルじゃないか…。
紳士で真面目なエリートニートの名が汚れ……じゃなくてっ!
そうだよ!僕はニートだったんだ!
「夢じゃないならなんなの!?ここが現実だとして、僕の大人の頃の記憶は?タイムスリップしたってこと?なんで?理由は?戻る方法は?」
「その大人の記憶が夢という可能性は無いダスか?」
「ない!」
つか頼むからこれ以上怖いこと言わないで!?
——その後しばらく、デカパンの仮説を真っ向から否定し続けていると、思いが伝わったのか、半信半疑だったデカパンはようやく真剣に話を聞くようになった。
「わかったダス。そこまで言うならチョロ松くんを信じるダス。混乱するのも仕方ないダスがワスの説明を冷静に聞いて欲しいダス。いいダスか、こんな話があるダス」