第3章 不純異性交遊?いやいや中身大人ですから
——チャイムが鳴り、目を開けるのと同時に教室が賑わう。
いつの間に居眠りしちゃったんだろう。
ボンヤリする思考の中、のろのろと教科書とノートをしまう。何気なく顔を上げれば、窓から見える景色に目を奪われ手を止めた。
すごいなぁ。迫力満点。
入道雲が渦巻いて青空に白を塗りたくっている。あの雲を見ていれば、あの中に失われた古代文明の浮島があっても何らおかしくないよなって思う。
あははっ、ちょっと詩的な表現すぎた?じゃあ趣向を変えて巨大なソフトクリームみたいで美味しそうってのはどうかな?その方が分かりやすいでしょ?とりあえず、今僕が見ている入道雲はそれくらいふわふわででっかくてとぐろを巻いてるんだ。
——おい、ちょっと待て何この不意打ちの場面転換。
僕さっきまで部屋でゴロゴロしてたよね?
急すぎない?
「ねぇねぇ」
「っ、はいっ!」
……ってお前か。
振り向いた頭をぎゅるんと戻し、机の片付けに専念する。
「チョロ松にいちゃーん」
そんな兄の腕を引っ張る面倒な奴。
「一緒に購買行こうよぉ」
「いやだよ」
なんだこの幼児。鬱陶しいなぁこいつ。そういえばこいつお兄ちゃんっ子だったよな。高校時代なんて特に。
いやだからなんで高校時代!?危うく流すところだった!
「なんで一緒に行ってくれないんだよぅ」
「……トイレ行くから」
「じゃあボクも」
「いいよ1人で。早く行かないと売り切れるよ?」
こっちは急なストーリー展開で話についていけてないんだ。1人になって頭を冷やしたい。お前に構っている場合じゃない。
「ったく、過去を振り返るシーンとかだろどうせ」