第2章 純情スクイーズ
心にピリリと罪悪感。私を覗き込む大きな瞳。
大好きな君に間近で見つめられれば、みるみる顔が火照っていく。
「あははっ♪恥ずかしがってる顔可愛い〜」
なんて微笑みながら、イタズラに人差し指で私の頬をつっついてくる。可愛すぎて辛い。これを天然でやってのけてるのだとしたら相当な小悪魔だ。
「隠さなくてもいいのに。どこまで話したの?」
「…いちごメロンパンで出会ったところまで…」
「あっ懐かしいね。ボク、あの時からずっと気になってたけどなかなか会えなくてさ。だから、のぞみちゃんから好きって言ってくれてとっても嬉しかったんだ!」
「トドちゃん…!」
「恋ってワクワクしてドキドキして、とってもステキだよね!のぞみちゃん」
「トドちゃん…!」
「毎日楽しくてまるで魔法みたい」
「トドちゃん…!」
しばし2人で見つめ合っていると、視界の端で影が弾むように動いた。
「僕、そろそろ帰りますね」
チャリンと音を立てて小銭がテーブルに。
しまった。今完全に2人の世界だった。
「チョロ松くん!」
「家に帰って今日の復習をしないといけないので」
「待ってよチョロ松兄ちゃん!」
「じゃあ失礼します」
ペコリと頭を下げ、早歩きで帰って行く。
「チョロ松兄ちゃん!」
トドちゃんが後を追う。
「え?あの、待って!2人とも!」
と叫んでも待ってくれるはずもなく、急いでお会計を済ませて2人を追いかけた。