第1章 恋はプレーン味
「どしたのお前ら?喧嘩はよくないよぉ?落ち着けって。な?」
「……松野には関係ないだろ!」
威嚇する大野くんとは対照的な、陽気な笑顔の松野くん。
「いやいや、一応同じクラスなんだから関係はあんだろ?」
杉山くんの胸ぐらを掴んでいた手が緩まる。
松野くんは二人の凶暴な目つきに怯む様子も見せず、ヘラヘラ笑いながら近づいていく。
「お前らさ、俺からしたらどっちもどっち。昨日のお前の態度もひどいって」
杉山くんはその言葉に悔しそうに舌打ちをした。
そんな杉山くんを宥めるように松野くんは肩に手を置く。
そして、2人の間に割って入ると、身体を引き離した。
「な?向こうで女子も怖がってんじゃん」
その一言で3人の視線が一斉にこちらを向く。
「あ、あの…」
上手く言葉が出てこない。
しどろもどろする私を見て、杉山くんはため息を吐いた。
「……ああ、確かに松野の言う通りだな。俺も悪かったよ」
「だろぉ?はいもう喧嘩はおしまい笑って笑って」
折れたのは杉山くんからだった。
謝罪され、大野くんもしぶしぶ謝っている。
松野くんの仲裁により、無事2人は和解したみたい。
よかった。さすが松野くん。
クラスのムードメーカー的存在な彼は、いるだけで周りを和ませる不思議な魅力がある。
私はそんな明るくて面白い松野くんを密かに尊敬していた。
まぁ、女子からはナンパ、スカートめくり、セクハラ発言で敬遠されがちなので、なかなか友達には言えないけど。
でも、さっきまで喧嘩していたのが嘘みたいに大野くんと杉山くんは笑顔だ。