第2章 純情スクイーズ
メニューが運ばれ2人の時間が始まる。
「はいっあーーーん」
「おいしー!ボクのもあーーーん」
「え?イチゴ食べていいの?」
「うんっ、はんぶんこしよ」
冷ややかなチョロ松くんの視線が突き刺さる。が、そんなこと気にならないくらい私はトドちゃんに夢中になっていた。
「ん、あまーーい!ありがとうトドちゃん」
「全く…不純異性交遊は勉強の妨げに「はいチョロ松兄ちゃんも」
トドちゃんのスプーンが私経由でイチゴをチョロ松くんのお口へと運ぶ。それだけでチョロ松くんの顔がイチゴに負けないくらい真っ赤になる。
「か、関節キスゥ!?」
「なに兄弟なのに照れてるの?チョロ松兄ちゃん」
「大袈裟だよチョロ松くん」
「大袈裟って……だって、僕の前に…!いや、まぁ、変に意識した方が確かにアレだけど…でも、大体これが大袈裟なら2人は普段どんな刺激的な行為を…………いや、世の中には知らない方がいいこともあるか……」
もぐもぐ頬張りながらぶつぶつとチョロ松くん。一方、トドちゃんは頬に手を当てながらパフェをつついている。甘ーいスイーツに表情はニッコニコ。
うーん、トドちゃんは気にしてないみたいだけど、チョロ松くんの動揺を和らげる為に話題を逸らしてみようかな?
「そういえばさ、チョロ松くんとこういうとこ来たの初めてだね」
「え?あ、はい。僕は普段寄り道しないで真っ直ぐ自分の家の自分の机に直行して勉強しているので友人とこういう時間を過ごすのはあまりないんです」
言い終わるや否や得意げにキラーーンとメガネを光らせた。THE・優等生だ。
「あははっ、真面目だなぁチョロ松くんって」
「本ばっか読んでるもんね」
「お前もスマホばっか見てないでもう少し勉強しなさい」
「えへへ、ちゃんと勉強するよ。今度のぞみちゃんのおうちで勉強会するんだ〜」
トドちゃんがそう告げると、チョロ松くんは脳天に雷が落ちたんじゃないかって勢いで顔を引きつらせた。
「勉強…会…女子の…しかも、彼女の家で…」
誰もいない方向を見て呪文を唱えている。真面目くんの脳内ではどんな妄想が繰り広げられているんだろう。