第1章 恋はプレーン味
つか、あんま意識してなかったけど、よく見たらこいつ可愛くね?思春期マジック?
なんてな。前から気になってたし。
「お前さ」
「うん?」
「…俺と付き合う?」
のぞみちゃんの足が止まった。
俯いたまま動かない。
沈黙が訪れる。
30秒待ったけど、我慢の限界だった俺は空気を読んだ。
「なんちゃってー!ねえねえドキッとした?キュンとした?惚れた?濡れたぁ?」
「………」
いやなんか言えし!?
「あ、そう言えば明日数学小テストじゃなかった?勉強しないと!」
期待とは裏腹に、現実感満載なのぞみちゃんの一言。
「やべーなんもしてねぇ!カンニングさせて!」
「だめ」
「させてよー!じゃあ名前交換して提出は?」
「もっとやだ」
なにこの会話!?さっきの告白まがいのフォローしてくんねぇの!?青春キツイわぁ!精神的苦痛だわぁ!
「明日、一緒に満点取れたら付き合おっか」
——は?今なんつった?
それは、俺が本気かどうか試してんの?