第1章 恋はプレーン味
「いや答え出てなくない!?」
「だって、私達思春期だから」
笑ってはぐらかしやがった。
しかもなんだよそれ?思春期だから大いに悩もうって?
そこは気ぃきかせて「でも私はそんな悩んでるおそ松くんがカッコよくて大好きです」とでも言ってくれよ。
「あっ、でもこれだけは言わせて」
「まだ続くの!?もういいよ!?」
「私は松野くんたちみんないい人で大好きだよ。1人でも欠けちゃやだ。ね?それを踏まえた上で悩んでね?お兄ちゃんっ」
「…そこは俺だけじゃないのかよ」
とボヤきつつも心がかつてないほど軽くなった。
俺だって、ほんとはあいつらが大事なんだ。
ありがとうな、のぞみちゃん。
あとお兄ちゃんって響きもサイコーだった。
今、この瞬間、のぞみちゃんに会えてよかった。
「あの、俺だけって?」
「あーもーいいから!考えるの飽きちゃった。早くラーメン行こうぜ」
何も言わずに手を繋いで腕を引く。
嫌がられるか、それとも殴られるかと思い一瞬身体が強張ったけど、のぞみちゃんは手を解かなかった。
嫌がられるの前提でやった行為が嫌がられなくて、なんだこれ?調子が狂う。
かと言って自分から離すのも…。
チラリと横顔を盗み見る。
うわぁ恥ずかしそう!見てるこっちが恥ずかしい!そんな顔してまで手を繋いでくれんの!?
なんだ?なんか逆にこっちが緊張してきた。
解きたいのに解きたくない。
思春期って怖い。