第1章 恋はプレーン味
すると、のぞみちゃんは少し泣きそうな顔になって、
「6つ子って憧れるよ。なりたくてもなれないし。それに、お母さんはとっっても苦しい思いして頑張って6人お腹で育てて産んでくれたんだよ?だから、そんなこと言わないで。悲しいよ」
「またそんな道徳みたいなこと言って…」
「そうだよね。ありきたりなことしか言えなくてごめん」
そんな重たい話してないのに、国1つ滅んだレベルで落ち込んでいる。そして、この話はもう終わるかと思いきや、のぞみちゃんは話をまだ続けた。
「あのね、さっきおそ松くんも言ってたけど、私も同じ顔した妹5人いないからきっと分かってあげられない。想像でしか話せない。だから本当の意味でのアドバイスは出来ない」
また「ごめんなさい」と最後に付け加えてションボリしている。
「そう…だよな。こっちこそ変なこと聞いてごめんな」
てかべつに俺の話なのになんでそんな落ち込んでんの?お人好しだよなぁ。
のぞみちゃんは夜空と睨めっこしながらあーだこーだぶつぶつ言い始める。諦めの悪い性格なのかも。
「ええと、でもきっと、こんなアドバイスじゃ納得できなくて悩んじゃうでしょ?それでね、悩んでてもおそ松くんだし、悩まなくてもおそ松くんだから…」
何が言いたいのかよく分かんないのは、たぶん話してる本人も分かってないからだろう。
へーぇ、俺の為にそんなに必死になって考えてくれんの?分かったよのぞみちゃん、そのアドバイスしっかり受け止めてやる。ついでにおっぱいも揉みほぐしてやる。
「つまり何が言いたいんだよ?」
「つまり——気がすむまで悩めばいいんじゃない?私もそうする」