• テキストサイズ

おそ松さん〜青春群像松劇〜

第1章 恋はプレーン味



「なんかおそ松くんと話してたらおバカすぎて悩みどーでもよくなっちゃった」

「それ褒めてなくない?」

「褒めてる褒めてる!おそ松くんはそのままでいてね」


そのままの俺ってどんな俺だろ?俺自身まだ俺=〇〇の答えが出てないんだけど。

あ、さっき下ネタって言われたか。いやもうちょいなんかないの!?

よし、と前髪をわしゃわしゃして変装開始。


「ぶっぶー!実は俺一松でしたー!」

「うそうそ!一松くんと全然違うもん!」

「そうか?」

「うん。みんな似てるけどみんな違って面白いよね。3年も見てれば分かるって。並んで帰ってたの楽しそうで羨ましかったなぁ」


のぞみちゃんはきっと気づいていない。

その言葉が、俺達兄弟をどれだけ救ってるのか。


(そのままの俺…か)


少し緊張するけど確かめたいことがある。

頬をポリポリかきながら聞いてみた。


「あのさ……さっき俺に、そのままでいてねって…」

「言ったけど?」

「マジで言ってんの?そしたら俺、会う度にのぞみちゃんのスカートめくるよ?今日は何色かなーって楽しみにしちゃうよ?履いてなくてもいいけど」

「じゃあまた明日、おやすみなさい松野くん」

「っておい!冗談だって!!」


背を向けようとしたのぞみちゃんの腕を反射的に掴んでいた。力を込めると手が微かに震える。


「ほんとに俺、変わんなくていいのかな?長男なのに長男感ないっつーか、俺、変に期待されてる気がして、それが正直嫌すぎて…」


なんで俺さっきから、クラスメイトにこんなに自分のこと話しちゃってんだろ?


「時々分かんなくなるんだよ。てかめんどくさくなる!長男じゃなきゃ、6つ子じゃなきゃよかったのにって思った!何度も何度も!」


こんなこと言わない方がいいのは分かってたのに、つい吐き出してしまった。

/ 52ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp