第1章 恋はプレーン味
「そういうの、本気で嫌な子もいるんだから気をつけなね?」
「のぞみちゃんも嫌?」
「私は…………おそ松くんの、誰にでも明るく接するところいいなって思ってるけど、うん、パンツ見られるのは嫌かな」
「ヤメテー嫌がられるとますますしたくなるから」
冗談じゃなくわりと本気でそそられた。今度堂々と前からめくってみようかな?
大体さ、俺が正直すぎるだけで世の男子高校生なんてみんな似たようなもんだから。セックスしか頭にないから。特に弟達なんて——いや、あいつらのこと考えんのやめよ。
「ほんっと、いつも元気でいいねおそ松くんは」
のぞみちゃんは諦めてこれからもパンツを見せる気になったのか、話題を変えてきた。
「あーそう見える?まぁそうなんだけど」
頭の後ろで手を組んでベンチに体重を預ける。隣ののぞみちゃんはどこか寂しそうに笑った。
「実はさ、進路希望調査白紙で出したの親にバレて叱られちゃって。私も居心地悪くなって散歩してたの」
「マジか」
意外だった。
いい意味でフツーなのぞみちゃんは、フツーに進路なんて決まってるもんだとばかし思っていたから。
「将来のことなんて聞かれても分かんないよ。やりたいこともないし」
初めてのぞみちゃんから愚痴を聞いた気がする。
「じゃあ分かんないままでよくない?」
「よくないよ。全然よくない!」
「でも俺も分かんないんだよな。だからごめん、アドバイスとか無理だ」
「そっか…。お互い早く見つかるといいね」
背もたれに腕をかけ、ふと夜空を見上げる。
なぁのぞみちゃん。
俺も自分のこと話していいかな?