第3章 あまのじゃく/朔間凛月R18夢※※
動揺するあんずとは対照的に、凛月は落ち着いていた。
心の中はざわざわと落ち着かないというのに、表情には出さず、冷静にあんずを見据えていた。
「なに、してるの?そこ、まーくんの席だよね?それに……それさ。あんず、もしかしてまーくんのこと……」
「ち、違うのっ!これはただ……」
あんずは慌てて立ち上がると、否定し、弁明しようとしたが、その言葉を凛月が遮る。
「何が違うの?まーくんの席で、まーくんの衣装抱きしめて寝てさ……何が違うの?」
断罪するかのように鋭く言葉を発する凛月に、あんずは上手く答えることが出来なかった。
「ねぇ、プロデューサーがアイドルに恋していいと思ってるの?」
「そういう関係になりたいとか、思ってるの?」
口を開けば、あんずを糾弾する言葉ばかり。
どうして、こんなことばかり口にしてしまうのだろう。
全て、本当は自分に言いたいことばかりなのに。
みんなのプロデューサーであるあんずに恋してもいいものか。
あんずと、そういう関係になっていいものか。
自分に言いたいことを全部、彼女にぶつけてしまっていた。
言葉を投げつけるたび、あんずは悲しそうな表情へと変わっていく。
その表情すら、凛月の心をざわつかせた。
「ねぇ、答えてよ。あんず……」
あんずは、何も言わない。
それが凛月の焦燥感を煽る。
「ねえ、このこと、みんなが知ったら……どう思うかな?」
そう口にした瞬間、あんずの表情が変わった。
「やっぱり……そうなんだ。そうだよね。だったら……」
凛月があんずに歩み寄ると、彼女は後ずさっていく。
一歩、また一歩と、あんずは壁の方へと追い詰められていった。
「…………っ」
あんずの体が壁につくと、凛月は彼女の顎をすっと持ち上げた。
「あんずの秘密、誰にも言わないであげる。大丈夫、俺は……約束は死んでも守るから。だから、俺の言うこと、全部きいてよあんず」
凛月は冷たく微笑みながら、あんずに顔を寄せると、彼女と唇を重ねた。