第2章 2年生 不登校
「…まだ、2人と連絡取れないの?」
「大野先生……あれから家に行ったりもしたんですけど…」
吉岡と桜木が学校に来なくなってから1ヶ月ほど経っても2人はもちろん、家族にも連絡が取れなかった
大野先生も心配してくれているし、他の先生たちも相談に乗ってくれたりクラスの生徒たちに話を聞いてくれたりしている
その中で1つだけ、気になった話があった
俺のクラスではなく隣のクラスの男子生徒が話していたのが、新宿で2人に似たような女の子を見かけたというのだ
男子生徒は通学の乗り換えで新宿駅を使っているらしく、帰りに買い物をして行くことが多いという
2人に似た女の子を見かけた日も買い物をするために駅の外に出たらしい
男子生徒は店の中からたまたま外に視線を送った時、スーツを着た男性と2人に似た女の子が喋っている所を見たのだ
しかし吉岡と桜木が不登校になっている噂を知っていたので何となく2人の容姿が頭にあったが、元々知り合いだった訳でもないから本当にその女の子が2人だったのかは自信が無いという
それでもどんなに小さな情報でも手に入ったからには確かめるしか無いと思った
「相葉先生、新宿駅行くのか?」
「…はい、大野先生」
「別に相葉先生を責める気もあの男子生徒を疑っている訳でもない
でもあまりにも信憑性が低いと思うよ、あの情報は」
いつもと違い静かに、少し低い声で大野先生は話し続ける
「それに少し入れ込みすぎじゃねぇか?
心配するのは分かるが家以外にまで行くのは教師のやることじゃない
しかも校長や主任に相談もしないで」
まるで睨むような大野先生の視線に耐えきれず、振り切るように帰り支度を進める