第2章 2年生 不登校
確かに誰にも相談しないで1人で生徒を探しに行くのは間違っているのかもしれない
でもただ見かけた、しかも2人かどうかの確証も無い中で学校側が動いてくれるとは思えない
しかも2人はもちろん、家族とも連絡が取れないのだからただの不登校とは違う気がする
だからこそ2人かもしれない、という曖昧な情報でもすがりつきたいのだ
「すみません、大野先生
とりあえず男子生徒が見かけた場所の確認だけしてきます」
「…1回だけじゃ気が済みそうにねぇな」
その言葉に思わず押し黙るとはぁとため息を漏らして携帯を差し出してきた
「…?」
意味が分からずただ携帯と大野先生を見比べていると画面を見るように促され、そこにはスケジュール表が書かれていた
「予定がある日は無理だけど暇な日は俺も行くよ」
「え!大野先生の立場もあるからダメですよ!」
「でも相葉先生だけじゃ見逃す可能性だってあるだろ
2人の方がいいよ」
大野先生の目や口調は同意を求めているというより、自分の意思を伝えているだけだ
だけどこんな勝手な行動をしていることが学校にバレたら教師という職を失う可能性だって少なくない
これは俺の我儘みたいなものだから、大野先生を巻き込む訳にはいかない
俺も引こうとしないのが分かったのか大野先生は俺の携帯を取って何やら打ち込んでいく
返された携帯を見るとスケジュール表に新しい予定が書き込まれていた
どうやら大野先生の予定みたいだ
「分かった、俺は行かない
けど何かあったら連絡はして
吉岡と桜木はもちろん、相葉先生のことも心配してるんだから」
「…はい、何かあったらちゃんと連絡します」
俺の言葉を聞くと大野先生はうん、そうしてとにこっと微笑んだ