第11章 もう1人の自分
がポアロを覗くと沖矢がいた。
は深呼吸をしてからポアロのドアを開けた。
沖矢「いらっしゃいませ……ってさん!どうしたんですか?今日はお休みのはずでは…」
「昴さんの顔が見たくなって来ちゃいました」
沖矢「それは嬉しいですね。何か飲まれますか?」
「ううん、昴さんに聞きたい事があるの?だから昴さんの家で待ってていいですか?」
沖矢「もちろん!終わったらすぐに帰りますから待っていて下さい」
「はい。待ってます」
は1度自宅に帰り、合鍵を手にして工藤邸に向かった。
数時間後、バイトを終えた沖矢が帰ってきた。
沖矢「さん、お待たせしました。僕に聞きたい事って何でしょうか?」
「正確には赤井さんになんですけど…」
沖矢「僕の姿では話しにくいですか?では少し待っていて下さい」
沖矢は自室に行き、変装を解いて服も着替えて、声も変声機のボタンを押して戻し、赤井秀一の姿になってリビングに戻ってきた。
赤井「待たせたな。俺に聞きたい事とは何だ?」
「赤井さんが昴さんになった経緯はこの前聞きました。私に全部話してくれて嬉しかったです。昴さんと私は恋人同士です。赤井さんにとって私はどんな存在ですか?」
はいきなり本題を切り出しにくく、少し遠回りな質問をした。
赤井「俺にとってもは大切な恋人だ。姿や声は違えど心は変わらない」
「しゅ…秀一さん…」
赤井「前にも言ったが無理して名前で呼ばなくていい」
「無理じゃないんです。言い慣れないから恥ずかしかっただけです」
は顔を真っ赤にしている。
赤井「付き合い始めた頃に戻ったみたいだな。そんな可愛い顔をするな」
赤井は両手での顔を支えると軽く触れるだけのキスをした。
「秀一さん…」
は突然のキスに驚いて固まっている。
赤井「可愛い顔をするが悪い、本当は食べてしまいたいが、まだの気持ちを聞いてないし話も聞けていない。俺がをどう思ってるかが聞きたかったわけではないだろ」
赤井はをじっと見つめる。