第9章 シツコイのは嫌われる原因
《優香目線》
「いやぁ、すまねぇな!お嬢さん!」
「別に…勘違いしないでください。兄の不始末だから手当てしているんです」
早くも頬が腫れ始めた男を手当てしながら淡々と答える。本来だったらストーカーなんざに手当てはしない。
「近藤さぁん…アンタ大丈夫かぁ?」
「……蘇芳…見てたのか?」
「えぇ、もうバッッチリ」
「忘れてくれェェェェ!!!」
後ろから蘇芳という名の男が近寄ってきた。あっ…笠取って……る……
「やぁ、また会ったね。狐面のお姉さん」
「アンタ…真選組の…」
「霧時雨蘇芳でっす。どうぞよろしく〜」
いや、よろしくって言われてもね……
「えー…お名前お伺いしても?」
「……優香…成田優香……」
「優香さんかぁ…覚えました。美貌によく似合う美しい名前ですね」
「……ど、どうも…」
「優香さん……貴方の事が好きです!一目惚れです!お付き合いしてください!」
………………えっ?
いや…えっ?は?えっ?
いやいやいやいや…無理だから…会って2度目じゃん、ちょっと前に一回会っただけじゃん
「いや…初対面に限りなく近いのにいきなりそういうの……困るんで…ごめんなさい、無理です」
「…………んじゃ、これからもアプローチして行きたいと思いますんで!!俺の気持ち受け取ってください!」
えええええええ?!何でええええ!?
この人イケメンだけど残念だ!!残念なイケメンだこの人!!
「何だ、2人は知り合いだったのか!世間はいい意味で狭いなぁ!!」
「近藤さん、俺と優香さんはいずれ結ばれる運命なんです!!故に何度だって再会できる!!」
「デタラメ言うなアホ、さっさと帰れ」
「まったくもう!優香さんはツンデレですねぇ」
「そう言うのいらねぇから帰れよお前らもう」
鬱陶しいわ