第8章 約束は必ず守れ
私が吐き続けてる神楽ちゃんの背中をさすっていると、どこからかビーーーッと笛の音が聞こえた。
顔を上げてキョロキョロしていたら塀の向こうからおじさんが落ちてきて神楽ちゃんの吐いたものに足を滑らせ転倒した。……臭っ!!
「いだだだだだ!!それに臭っ!!」
「オイ!そいつ止めてくれ!脱獄犯だ!くさっ!!」
「いや臭ってどんだけ言うんだよ!!私らもだけど!しつこいわ!!」
と言うか、脱獄犯?!なんか嫌な予感しかしないんだけど!!
私は嫌な予感がして隣の神楽ちゃんを見る。隣にいない代わりにおっさんに捕まっていた。
はい、嫌な予感的中ゥゥゥゥ!!!
「来るんじゃねェ!!このチャイナ娘がどーなってもいいのか?!
「おいジジィテメコラァ!!ウチのモンに手ェ出すたぁどーいう了見だボケがァ!」
「優香お前はヤクザか?!」
「おいそこの白髪、免許持ってるか?」
「普通の免許なら持ってっけど」
銀は脱獄犯のジジィにそう答えると、ジジィはパトカーに乗って運転をしろと言ってきた。何様だコラァ。
「なんでこ〜なるの?」
「知らないわよ…」
「おじさーん、こんな事してホント逃げ切れると思ってんの?」
「いいからそこ右曲がれ」
「言っとくけどレベル1のスライムがレベル99の勇者を倒す並みに困難極まりないわよ?」
「知らねぇよんなこたァ。それに逃げ切るつもりなんてねェ…今日一日だ、今日一日自由になれればそれでいい。特別な日なんだ、今日は…」
何があるかは知らないけど大事な日なんだ、今日。