第7章 攘夷集団とチンピラ警察
《蘇芳目線》
張り込みをしていた建物の近くで爆発音がした。それは壁にもたれかかって居眠りしていた俺の目を覚まさせるのに十分なくらいの爆音。
……あー、うるせーなー。またかよこの野郎…
「またですかー?土方さん」
「おう、起きたかテメェ。仕事中に居眠りするたぁいい度胸じゃねぇか」
俺は片目だけ開けて上司である土方十四郎に目を向けた。桂小太郎の指名手配書を見ながら煙草ふかしてやがる…。
そんなんだから逃げられるんですよーだ。
「はいはい悪うございました〜」
「チッ…テメェは…!…はぁ…にしても天人との戦で活躍したかつての英雄も、天人様様の今の世の中じゃただの反乱分子か。この御時世に天人追い払おうなんざ、大した夢想家だよ」
「はぁ、それにしても瞳孔かっ開いたまま部下に説教だなんて…大した鬼上司だなー」
「嫌味か、テメ嫌味か」
はーい、すぐ怒んない怒んない。
俺は素知らぬ顔で隣で寝ている総悟君を起こす。
「おーい、総悟君。怖い怖い副長がお怒りだよ」
「お前あの爆音の中よく寝てられるな」
「爆音って…またテロ防げなかったんですかィ?何やってんだィ土方さん真面目に働けよ」
「そうだそうだ〜。働け土方コノヤロー」
「テメェらもう一回眠るかコラ」
つーか、俺らとしちゃ大使館がいくら吹っ飛ぼうが関係ないんだけどー。俺らは俺らの舞台がありゃそれで満足だし…。余計な仕事はいらないんだよね。
刀を持ちながらニヤリとして喋っている土方さんを見て俺はそう思った。というか俺、土方さんが何いってたのか聞いてなかったわ。あははっ
「まぁ、行くとしますかテロリスト狩りに」
よっこらせ、と立ち上がり刀を手に取って土方さんの後に続いた。
俺の名は『霧時雨 蘇芳』…真選組一番隊副隊長だ