第6章 第一印象だけを見ちゃダメ
「残念だよ、あたしゃアンタのこと嫌いじゃなかったんだけどねぇ。でもありゃ偽りの姿だったんだねぇ。家族のために働いてるっていうアレ、アレもウソかい」
「世話好キ結構、デモ度ガ過ギル。私ノヨウナヤツニツケコマレルネ」
「こいつは性分さね、もう治らんよ。でもおかげて面白い連中とも会えたがねェ、あの子はこうだ…」
あの子?銀の事じゃなさそうだけど…
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『お登勢目線』
ありゃ、大雪が積もってさらに追い討ちをかけるかのように雪が降って日だったねぇ…
雪のつもり具合を見るために店の外に出て歩いていたら、建物の壁に寄り添うようにしてまだ年若い子供が座ってたんだ。傘もささずにジッとね。
「アンタ、こんな寒いところで何してんだい?親は?」
「……いない。私にいるのはお兄ちゃんだけ」
顔を上げずに話す目の前の子供は放っておけば死んでしまいそうだったけど、強い意志を感じた。
「お兄ちゃん待ってんのかい」
「……うん」
「じゃあ、お兄ちゃん来るまでアタシがアンタの面倒見てやるよ」
驚いたように顔を上げて差し出したアタシの手をジッと見つめてから手を取った。
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「それで店に向かう途中、その子なんて言ったと思う?」
……。
私は心当たりしかないのでスッと目を逸らしてた。お登勢さんはお登勢さんで私を見てから口を開く。
「『私を助けてくれたおばちゃんの事…これから先、私が守って行く』って言ったんだよ」