第5章 夜兎の少女
怪しすぎる、というもっともなツッコミを受けたけどこれで行くしかないと思う。
まぁ現に上手くいって駅までたどり着いた訳なんだけどね、結果オーライ。
「ここからは2人で頑張りな、てかあと電車乗るだけじゃん」
「優香さんはどうするんですか?」
「クソ兄貴の頭丸刈りにしてくる」
後は電車に乗るだけだし、2人でも平気でしょ…私はそう思って駅から立ち去ろうと駅の出口へと向かう。
まぁ、その何気ない行動ですら許そうとしないパーマ野郎がいるというのは予想外だったんだけどね。
「そこの姉ちゃん」
「……」
が、パンチ野郎どもの話に応じる私ではないのである。持ち前のスルースキルを発動しその場をやり過ごそうとしてハッとした。
私が今コイツらをスルーすればせっかくここまでたどり着いて後は電車に乗るだけの女の子と新八君はどうなるか…深く思考しないでも分かる単純な結末がハッキリ見える。
かと言ってコイツらはただの『囮』という事もある。私の注意を引き、2人を追う…そうとも考えられる。
どちらかというと、この場合は後者ね。でも多少は足止めしておく必要がありそうな気がする。