第2章 万事屋銀ちゃん
20年前、鎖国が解かれて天人達が大量に入ってきた事で高度経済成長を迎えたこの国では古きものは新しいものに押しつぶされて衰退の一途を辿っている。
この道場も例外ではないというのは私にだってわかる。
廃刀令のご時世で剣術を習いに来る人なんてゼロに等しいだろうし…。だからこそこんなにキレているんだと気持ちは理解できるけど怖いもんは怖い。
そうしみじみ感じている私の眼の前では短刀を持った妙さんが怒り任せに銀に斬りかかろうとしそれを弟の新八君が止めている。そして銀はギャーギャーと騒いでいる。
あぁ、神様。貴方はなぜこんなカオスな状況を好むのか……。一先ず落ち着いて話し合いたい私は口を開く。
「あ、あの…一度落ち着いてください…」
「うるせぇぇ!!落ち着けるわけねぇだろ察せこの巨乳のアマがぁぁあ!!」
「姉上ェェェェ!!落ち着けェェェェ!!」
本日2度目の地雷を踏んでしまったようだ、めっちゃ怖い…私はすごすごと正座していた位置に戻ると事の成り行きを見るしかなかった。
「待て、待て待て待て!切腹はできねーがケツくらい持つって!!ホラ!」
銀は名刺を出すと怒り狂う姉とその弟に見せた。
「万事屋…坂田銀時?」
「こんな時代だ、仕事なんて選んでる場合じゃねーだろ?」
「私と兄は万事屋…所謂頼まれたら何でもやる『何でも屋』を営んでいるんです」
「そうそう!困ったらこの俺銀さんが何でも解決してや……」
「だーからお前らに困らされてるんだろーが!!」
「仕事紹介しろ!仕事!」
……ごもっともです。
私にはそれしか言えないよ。