第3章 ⅲ
「心海ちゃんは明日仕事?」
「ううん、明日も休みで、明後日からまた仕事です」
「そうなんだ」
「あ、スペアキー渡しておきますね。私が会社行っている間、燭台切さん退屈しちゃいますし、どこか出かけてもいいように」
「いいの?」
「はい」
私はそう言ってスペアキーを渡す。なんか同棲してるみたいな感覚に陥った。
「燭台切さんは、本丸?ってところにいた時はどういう仕事してたんですか?」
「うーん、みんなのご飯作ったり、主のお手伝いしたりしてたかな。まぁいろいろやっていたよ」
これ以上は言いたくないみたいで、私はそれを察して話を切り上げた。
ご飯も食べ終わり、片付けようとしたら休んでてと言われて手持ち無沙汰になってしまった。片付けてる姿をベッド兼ソファーになっているベッドに座って見続ける。
何もかも手慣れている感じがし、本当に神様なのかと全てを疑うレベルだ。
ふとスマホで燭台切光忠と検索してみたら画像とともに説明が書かれているページを開いて驚愕する。
画像には真っ黒な刀と思われる物が載っていた。
これが刀?
刀って銀色じゃないの?
と思いつつ説明を見ていくと、関東大震災での火災により、火災の鎮火後すぐに刀剣が収められていた蔵の扉を開けた為、バックドラフトが起こり蒸し焼きになり、焼刀となったと書かれていた。
そんなことを知りとてもいたたまれなくなった。