第1章 i
それから片付けも終わってお風呂に入った。
燭台切さんも向こうでの生活では、人間と同じことをしていたと言っていて難なく終わった。
「髪乾かさないと風邪ひいちゃうよ」
髪をまだ乾かしてなくてスマホをいじっていると、お風呂上がりの燭台切さんに言われ、声の主の方に顔を向けると私のオーバーサイズの服を着てもらったけどキツそうな彼と目が合う。
「乾かしてあげる」
無言だった私を見兼ねてドライヤーを持ってきて、私の髪を乾かし始める。心地よくてうとうとしてきた。
いきなり首を撫でられて小さく声を上げた。
「ふふ、可愛い。あ、そう言えば君の名前聞いてなかった…なんて言うの?」
「波風心海です」
「心海ちゃんね。ありがとう」
低い声で耳元で囁くように言われてドキッとした。しかも下の名前で呼ばれるとは全く思わず、これは神様と言うより危険な人なのではと心の中で思う。
「はい、終わり」
「すみません、ありがとうございます」
「どういたしまして」
「服キツそうですよね、明日買いに行きましょう」
「いいの?」
「もちろんです」
明日は買い物に行く約束をして布団に入った。
燭台切さんは床でいいって言ってたけど、私がそれを許せなくて、シングルベッドだけど私は壁際に縮こまりに一緒に眠る。