第1章 i
ひとまず燭台切光忠と名乗る彼に座ってもらった。お昼から何も食べていない私は、お腹が空いていて買ってきた惣菜をテーブルに用意をする。
彼は私の行動を、腰につけてる刀に手を置きながら見ていた。
燭台切さんの目の前にもお惣菜とご飯と飲み物を用意して箸も置いた。
食べてくれるか分からないけど、少し多めに買っておいてよかったと思う。
「よかったら、どうぞ。お腹すいてしまったので、貴方も嫌でなければ食べませんか?」
「え、いいの?君のご飯でしょ?」
「大丈夫です。それに明日休みなので、買いにもいけますし」
「なら頂こうかな」
少し嬉しそうな表情を浮かべた燭台切さんは食べ方が綺麗だった。この人が神様なんて信じられなかった。
じっと燭台切さんを見てると目が合う。
「僕の顔に何か付いてるかな」
「あ、いやその、綺麗だなって」
本音を零してしまい、ハッとした。初対面の男性に何を言っているんだ。
「あはは、ありがとう。僕はかっこいいって言われる方が嬉しいけどね」
なんて笑う彼はかっこよかった。顔も普通にかっこいい、背も高い、こんな人が私の世界にいたら普通に惚れてる。
そう考えるも少し場が和んでよかったことの方が大きい。
ご飯も食べ終わって、片付けをしていると燭台切さんも手伝ってくれた。
「僕が住んでたところでも料理とかしていたんだ。もし君が嫌でなければ、帰るまでここに置いて欲しい。料理も作るし、洗濯物だってやってあげる。いわゆるよく主が言ってた主夫ってやつやってあげるけど、どうかな?」
突然出された条件に、目を見開くとそれを見ていた彼は笑っていた。
「えっと、あの、迷惑ではないんですか?」
「うん、だって僕は君しか知らないし、君にとってもいいんじゃない?」
出会い頭に刃物を向けて、今では条件を提示してくる彼には内心すごく驚くばかりだ。彼も困ってるし私しか頼れる人が居ないんだと、不思議とそう思って何故か了承してしまった。