第9章 ix
「えっと、貴方は、」
「俺は鶴丸国永だ。光坊、燭台切光忠の仲間だ。きみが泣いてるのを見兼ねて、主に送って貰ったのさ。驚きだろ?」
「は、はい、驚きました」
「……きみは光坊と共に生きる覚悟はあるかい?」
鶴丸国永と名乗った男の人が目を逸らさずに聞いてきた。
それはとても重くのしかかる。私は本当に今の生活を捨てる覚悟があると言われれば無いと言える。
目の前の彼はそれを見透かしているようだ。私は言葉が詰まって返答が出来ない。
でも何故私はこんな未知の所へ燭台切さんを探しに来てしまったのかと思うと、それはただ彼が好きの一言に尽きる。
私の燭台切さんへの想いはいつの間にか重くなっていったらしい。
彼の提案に乗らなければもう金輪際会えない気がした。それは凄く嫌だ。
彼が居なくなったあの日から、心にポッカリと穴が開いた。
それなら今の生活を捨てた方がいいのではないかと思うも、会社のことや友人や両親と会えなくなるのが辛かった。
「……鶴丸国永さん、私は友人と会えなくなるのが辛いです。両親のことも心配なんです、そのしがらみがあるから、私の決断を鈍らせる」
「…では…きみの答えはここの世界で「でも、燭台切さんが居なくなった時、心にポッカリと穴が開きました、私は燭台切さんと生きたいです」
緊張から震える手を抑えて言い切る。