第9章 ix
私は震える声で燭台切さんに話しかける。
「私は、貴方のことが………私も、いつの間にか…好きになってました」
私は言い切ると彼は目を見開く。信じられないとでも言ったような表情をしていた。
そして、燭台切さんが何かを言おうとした瞬間、目の前から忽然と姿を消した。
「えっ」
私の声だけが響いた。幻でも見ていたのだろうか、はたまた夢でも見ていたのだろうか。
やっと会えたと思ったのに消えてしまった
私はショックが大きくて目からは涙がボタボタと零れ始めた。
「しょ、くだい、きりさ、ん、ど、う、してっ」
泣き止むことが出来なくて、彼の名を何度も呼んで下を向く。
「お嬢さん、そんなに泣いてたら顔が台無しだぜ」
近くで声が聞こえて、私はハッと前を向いた。
そこには暗闇に映える白とも銀とも言える髪色に、真っ白な衣に、金属の鎖とも言うべきかその装飾に身を包んだ男の人がいた。
金色の目が私を捉える。
「実際にここにこられるなんて驚きだ。人生には驚きが必要だが、光坊はこんなに楽しいことをしていたのか…………おおっとすまんすまん、きみは光坊のことを助けてくれたんだよな、安心してくれ光坊は今主に呼ばれただけさ」
私は驚きすぎて涙も止まっていた。