第10章 x [完]
私が言い切ると、鶴丸国永さんは頷く。そして姿が消えて、今度は燭台切さんが鶴丸国永さんのいた所に立っていた。
「心海ちゃん、後悔しない?」
「……私は貴方と生きたいです。もう辛い思いはしたくないです。後悔をしたくないから、私は貴方と居たい。生きたい」
「……ありがとう」
私はそこで意識を失った。
数日後、ニュースでは女性が神隠しか?といった内容の一報が流れていた。
女性は有給休暇明けの職場に現れず、連絡しても出ないという状況で、職場から両親に連絡がいき、誰が連絡しても繋がらず捜索願が出されていた。最初はその女性の地域周辺のみであったが、何日経っても見つからず全国に捜索願いが出され、全国ネットで見かけたら情報を最寄りの署へと報道された。
そして全国ネットで放送された日に、とある神社にその女性の所持していた物と思われるバッグが残され、コインロッカーにあったキャリーケースもその女性の物ではないかとその地域では言われていた。だが目撃情報などは無く、数日後に生放送された特番の行方不明者捜索という番組の中で、最新の情報収集も行われたが、何も出てこなく本当の神隠しではないのかとネットで噂をされていた。
私は気を失った後、暖かい光に包まれた空間にいた。
しばらくするとその空間が広がり、日本家屋というよりも屋敷と言った方が正しい所に連れてこられた。
燭台切さんも隣にいてその主と呼ばれた女性の元へ来た。
「燭台切光忠を助けていただき、ありがとうございました。私は貴方に彼を託します。あなたに私の力を授けます。どうか、よろしくお願い致します」
その女性は私の母とそう変わりのない年代の方だ。
女性が私の目の前に来ると、私の手を握る。
その手はすごく暖かった。