第9章 ix
翌朝になり支度をしてチェックアウトの時間と同時に外へ出た。
駅のコインロッカーにキャリーケースを置いて、観光するためにパンフレットを貰う。私の心とは裏腹に快晴だ。
バスに乗って色んなところを巡った。お城の跡地にもいったり、燭台切光忠を持っていた人のお墓にも行ってみた。 最後に神社へ向かう。
そこはパンフレットにしか載っていない、スマホで調べても出てこない場所だった。
もう夕暮れ時で、お参りをして帰ろうと境内に背を向けて階段に向かう途中、キーンという耳鳴りがして耳を抑えるも一向に鳴り止まない。
ちょうど日が沈む時だった。私は幻でも見ているのだろうか。
目の前に燭台切さんがいる。
「心海ちゃん」
「っ…燭台切、さんっ」
私は何が起こっているのか分からなくて、ずっと探していた彼を見て泣いて駆け寄る。
「ごめんね、いきなり居なくなって、本当にごめん」
「燭台切さん、会えてよかった、です」
謝罪をする彼は、私の中ではどうでもよかった。会えたことの方が嬉しくて、本心を伝えた。
「あの日、心海ちゃんと寝てたのに、目が覚めたら本丸に居たんだ。僕はどうやら重傷を負って仲間に助けられてずっと眠ってたらしい。でも僕は心海ちゃんが気がかりで、ずっと君のことを考えてた」
「………あの日、泣いたままで、ごめんなさい。ずっと謝りたかった。ありがとうって沢山伝えられてないから、帰ってしまったと思ったら涙が止まらなくて、燭台切さん、本当にありがとうございました」
「ううん、僕の方こそ本当にありがとう………ねぇ、少し聞いてほしいんだ」
彼は私に触れる。