第8章 ⅷ
日差しに目が覚め、頭が重くて瞼も重かった。でもいつも私を抱きしめている温もりを感じてまた眠りについた。
それから3時間後くらいに私は起きた。
意識を覚醒させて部屋を見渡すも燭台切さんの姿はなかった。
「燭台切さん?」
ワンルームの部屋に私の声だけが響く。でも私の声に応えはなかった。
燭台切さんがいない。
それだけで私の心はざわついた。テーブルの上に書き置きなんてものは無い。
顔を洗って改めて見て回るも、燭台切さんが着ていた服が無く刀を置いてあるところを見ても刀もなかった。玄関に置いてあった本来の彼の靴もなかった。
帰ってしまった
その言葉が脳裏に過ぎる。
まだお別れも言ってない、ありがとうってしっかり伝えられてない。
泣きじゃくってそのまま寝てしまって謝罪もしてない。
毎日ご飯美味しかったってちゃんとたくさんの気持ち伝えられてない。
なんで、どうして、後悔するばかりだ。
ベッドの上で放心状態のまま時間が過ぎ、夕方になっても帰ってこないまま、とうとう夜になってしまった。
燭台切さんとの生活はすごく楽しかったのに、居なくなってしまうとこんなにも寂しかったんだと思うと涙が溢れてきた。
拭っても拭っても次から次に目からは涙が零れていった。