第6章 vi
職場について朝礼をして仕事を始めた。溜まっていた仕事を片付け、気づけば昼休みの時間になっている。
お弁当を取り出して蓋を開けると、栄養バランスが良すぎるご飯だった。
どれも美味しくて、学生時代に母親の手作りのお弁当を食べた時以来のお弁当にとても胸が高鳴った。
もちろん完食して、美味しかったですと自宅にあるタブレットに送る。
しばらくして返信が届くと、使いこなしているのか絵文字付きで返信が来た。それさえも嬉しくてメールを保護した。
午後も頑張ってねなんて書かれていて、やる気がみなぎった。
昼休みも終わり、午後の業務中に上司から、”今日はやる気があるね。いいことあったの?”なんて言われてしまった。
私は、はいと言って返して立て込んでいた仕事をやり夕方からの会議に取り組んだ。
一日があっという間に終わり、なんだかんだ今日も残業して電車に乗ったのは定時から1時間過ぎたくらいだった。
最寄りで降りて駅前のロータリーを見ながら家の方向に向かって歩いていると、見慣れた姿があった。
「あっ、心海ちゃん、おかえり」
「え、燭台切さんどうして……ただいまです」
「遅いから心配で迎えに来ちゃったんだ」
やることなすこと全てパーフェクトじゃないですか、なんなんだほんとこの神様は……。
「えっと、ありがとうございます。結構待ちましたよね」
「うーん、2時間くらいかな?でも街ゆく人を見てたらあっという間だったよ。いろんな人間が居るんだって勉強になったし、楽しかったよ」
「は、はぁ………」
「今日は新しい料理に挑戦してみたから、一緒に食べようね」
「はい」
まさか迎えに来るイベントが発生するなんて思ってもみなかった。
ありえない展開に、心臓に悪いと思う。