第5章 ⅴ
ピピピピッ
無機質な目覚まし時計の音に目が覚める。寝ぼけ眼で目覚まし時計を止めて、目を擦りながら起きると、いい匂いが鼻をついた。
「おはよう心海ちゃん」
「…おはようございます」
「眠そうだね…顔洗ってきて、朝ごはん食べよう」
燭台切さんがご飯の用意をしながら言った。私はルーティン化してる朝の支度をした。
朝ご飯なんて今までパンで済ましていたから、白米におかずまである朝食がとても輝かしかった。
そして、ご飯を食べてメイクをしてなんだかんだ家を出る時間になる。
「はい、お弁当。今日1日頑張ってね」
「ありがとうございます。あっ、何かあったらタブレットで私に連絡してください。パスワードは無いのでボタン押して、手紙のマーク押して私の名前書いてあるとこタッチして要件書いて送ってくれれば大丈夫なので。タブレットも自由に使って良いので、あとお金も少しですけど置いてあるので使ってください!行ってきます!」
「ありがとう。とりあえずタブレット借りるね。気をつけてね、行ってらっしゃい」
早口で伝えたのに理解してくれたのか、笑顔で見送られて私も自然と笑顔になった。
久しぶりに笑顔で仕事に行く朝だ。