第5章 ⅴ
しばらくずっと素振りをしている姿を見ていた。
彼が私を見てちょうど目が合って微笑んでいる。
私も微笑み返すと、もう十分なのか私の元へ来た。
「心海ちゃん、ありがとう。僕もう十分だから、そろそろ帰ろうか」
「はい」
木刀をしまい、家へと歩き始めた。
私よりだいぶ背が高い彼の歩幅は大きいけれど、私に合わせて歩いてくれててすごく優しかった。
たわいない会話をして家に着いた。
「明日は仕事だよね。お弁当作っておくよ」
「えっ、いいんですか?」
「もちろん」
「ありがとうございます」
「何時に出るか教えてくれる?」
「8時半くらいに出ます」
「わかった」
そんなこんなで彼は手早く夕食を作ってしまい、テレビを観ながらご飯を食べて、お風呂に入って寝る支度をした。
布団は買っていないからまたシングルベッドに2人で寝っ転がると言っても私は壁際に縮こまって背中を向けて眠ろうとしたのに、彼は後ろから私を抱き枕のように抱きしめてきた。
「壁際に縮こまって寝ないの。疲れ取れなくなっちゃうからね…おやすみ」
「お、おやすみなさい」
後ろから声をかけられてとりあえずおやすみと言った。
寝れるわけない!!!!彼氏でもない男の人むしろ神様に抱きしめられて寝るなんて無理!!!!
私は何とか抜け出そうとしても、抱きしめる力は強くて諦めて眠った。