第4章 ⅳ
あれから2人でお昼寝をした。
私は夢を見た。
そこはどこかの蔵の中で、火災が発生したのか熱くてたまらなかった。
誰かが叫ぶ、そして誰かが蔵の扉を開けた瞬間、蔵が爆発して辺り一面赤い色に包まれる。
外へ出ると扉を開けた人だったような、形が少し崩れたものが転がっていたのを視界に捉える。
そして、蔵の中からもう1人誰かがでてきた。
それが燭台切さんのようだった気がしたけど、その人は消えてしまった。
そこで夢が終わる。
自然と目が開き、目の前には燭台切さんが眠っていた。
しばらく寝顔を見ていると彼も目を開けた。
「なんで泣いてるの?」
その言葉に私の頬を伝う涙に気づいた。
「…少し怖い夢を見てしまったんです。火事が起きて、消えてしまう夢」
「………僕も似たような夢を見たんだ、僕がまだ刀だった頃の夢。何もかも焼けてしまった。あの時、あの人間が開けなければ、あの人間が死ぬことも、僕が焼けることもなかったんだ。僕には少し抜け落ちた記憶がある。それは何かはわからない……大切にされて蔵に保管されてた過去があるから、僕は今こうやって主の刀として仕えることができた。おもしろいよね、刃生って」
「……燭台切さんっ、わたし、貴方のこと、帰れるまで、大切にします。だからっ」
「うんうん、ありがとうね。君の気持ちは受け取ったよ。もう少し眠ろうか」
泣いてる私を抱き寄せて背中をポンポンとリズムよく叩いた。
それが心地よくてうつらうつらと意識は遠のいていった。