第21章 真っ白
【慶次】
はっ・・・・──
目を開けると白いカーテンが揺らいでいるが目に入り、日が眩しくて、首を横に動かすと黄色い花が生けられている。
【慶次】
・・・・・・・・ここは・・・・。
【百之助】
ようやくお目覚めか。いつまで寝てんだよ。死んじまったのかと思ったぜ。
【慶次】
・・・・百之助・・・・・・・・?
そこには10代最後のときよりも少し大人びた百之助がのぞき込んできて、整えられた顎髭が生えた装いにドキリとさせられる。
【慶次】
俺・・・・、死んでないのか?
【百之助】
昨日もピンピンと話してたやつが何言ってる。もうすぐ退院だって話だぜ。
【慶次】
だって俺・・・・・・・・。
つい最近刺されたばかりじゃないか?
それに、百之助はなぜここにいる?まだ入営期間だったはずじゃ・・・・。
戸惑いを隠せない俺は何の違和感もなく身体を起こすと、ふいに百之助が顔を近付けてきて、おでこがぶつかる。
【百之助】
熱はないみたいだな。
【慶次】
え、・・・・・・・・えっ?
俺の時差がおかしいのか?
今まで変な夢を見ていたような気分になり、右を向いても左を向いても、それが何だったのか思い出せない。
【百之助】
くくっ、まだ現実に帰って来てないらしいな。
【慶次】
なあ、俺がおかしいのか?俺が刺されたのっていつだ?百之助はもう入営期間が終わったのか?
混乱する状態を整理するためにも、百之助に状況確認を頼む。
【百之助】
慶次が入院して2か月が終わる。刺されたところは臓器に損傷なかったから回復が早かったんだ。俺は1週間と2日前に満期終了して、毎日こうして見舞いに来てやってるのさ。
【慶次】
いまさらっと慶次って・・・・。
【百之助】
なんだよ。また若旦那様って呼ばれたいのか?周りに認めてもらったんだから、装う必要なんてないだろ?
【慶次】
周りに・・・・、認めて・・・・。
そうか。俺たちは晴れて周りに祝福されて、公認の仲になったのかと思い出される。
そうだと安心したら急に目の前にいる百之助が恋しくなり──
【慶次】
百之助。
名前を呼ぶと百之助は布団の横に手をついて、俺の唇を塞いだ。