第21章 真っ白
・・・・・・・・・・・・ここは、・・・・どこだ?
真っ白いところで身体を起こすと、そこには何もなくて、どこを見ても真っ白で首を振って周りを確認する。
・・・・・・・・おれの、手だ・・・・。
探ってみようと手を動かすと自分の感覚と同調した、爪や指先、腕が現れて、何もない白い世界を彷徨う。
・・・・なんで、こんなところにいるんだ?
今までいた場所も思い出せないが、ここじゃないどこかにいたはずだと周囲を確認する。
何もない世界。
自分しかいない世界。
・・・・・・・・そうか、おれ・・・・死んだのか。
べっとりとした血の感覚を思い出し、脇腹をなぞってみるが何も触らない。ただ自分の身体のようなものを触るだけで、そこには触れている感触は一切感じない。
・・・・死ぬってこんな感じなのか。なんにも無いのに、ふわふら浮いてる・・・・。
何も感じない不思議な世界。
あてもなく泳ぎ進んでいると、スッと人影が現れる。
・・・・・・・・だれだ?
人の形をかたどった光の影。
近付いても近付いても距離は縮まらなく、しばらくじっと見ているとその光は振り向いたような動作をする。
・・・・おまえは・・・・、誰だ?
手を伸ばすと、その光の影も手を伸ばして、縮まらない距離を進みながら、ふと指先が届いた感覚になった途端。
・・・・うわっ、な、なんだ・・・・?!
地震でも起きたように、真っ白な世界が上下左右、全方向から揺れを起こし、床でも抜け落ちたように手が離れていった・・・・。